インフルエンザ予防接種の時期が近づいてきました。
ワクチンの供給に目処がついたので、当院でも本日よりネット予約の受付を始めました。
さて、今シーズンからは、小児の「1回当たりの接種量」が変わります。
昨年までは、0歳0.1ml、1~5歳0.2ml、6~12歳0.3ml、13歳以上0.5mlでしたが
今年からは、3歳未満0.25ml、3歳以上0.5mlと、全体的に増量され、シンプルになります。
実はこれが、WHO推奨用量であり、主要先進国の標準接種量なのです。
これまでの日本の小児接種量が少なすぎることは、少なくとも10年以上前から指摘され続けてきました。
それなのに厚労省は、接種量を変えようとしませんでした。
その理由は、接種量を増やすことによって副反応が増えることを、厚労省が嫌ったのではないかと、私は推測しています。
「効果があるかどうか」よりも「副作用がないかどうか」を重視する、おきまりの厚労省のスタンスです。
ようやくこのたび、国内ワクチンメーカー4社による、WHO推奨量での臨床試験によって、その効果が認められ、接種量が変更されました。
ただ、おかしいのは、その臨床試験です。
接種量を変更しようというのなら、「従来接種量」と「WHO推奨量」の2グループを設定して、抗体の獲得率などを比較検討し、「WHO推奨量」の方が優れていることを証明する必要があります。
これはすなわち、「従来接種量」では効果が劣っていたことを立証することにもなってしまいます。
そこで実際はどうしたかというと、「従来接種量」のグループは設定せず、「WHO推奨量」だけを試験したわけです。
従来量との比較検討をしなかったことについては、一応言い訳がなされていますが、それがケッサク。
「海外主要先進国では、WHO推奨量はすでに確立された用量であるから」とのこと。
はじめから結論ありき、です。わかってたのなら、早く変えればよかったのに。