福島第一原発1号機の核燃料が、地震の直後にメルトダウンしていたことがわかりました。
原子炉の水位計を調整して判明したことは、燃料が完全に「空だき」になっていた事実でした。
これまでの2カ月間、テレビや新聞で原子炉の図解を見て、燃料棒と水面の位置関係についての最新情報に一喜一憂してきたあれは、いったい何だったのか。
メルトダウンを示唆する傍証はこれまでにたくさんありました。
しかし東電や役所は、異を唱える一部の専門家の意見には耳を傾けず、事態を過小評価してきたわけです。
あのスリーマイル島原発事故でも、水位計の故障のために原子炉内が満水と誤認してしまい、冷却を止めたために、燃料棒が3分の2ほど露出してメルトダウンが起きたそうです。
映画「チャイナ・シンドローム」は、そのスリーマイル事故の直前に作られた、原発事故を題材にした映画ですが、その中でも、やはり水位計の誤表示が原因で判断を誤り、メルトダウンになりそうになるシーンがありました。
学生の頃この映画を観たとき、原子炉が「メルトダウン」という状態になると、高温の核燃料によって原子炉の底が抜け、地球規模の大惨事になってしまうと、そのように理解したものでした。
いま福島のメルトダウンした核燃料は、圧力容器の底にたまっているようです。
東電によれば、少量の水によって「うまい具合に」冷却されているとのことですが、そんな説明で素直に安心できるほど、今の日本人は無知ではありません。
圧力容器はすでに損傷し、これまでに大量の水が漏れています。
もしも、その損傷部がだんだん拡大して冷却水注入が追いつかなくなると、核燃料が再び水面から露出してしまいます。
原子炉の底は抜けないのか。私はそれを、本気で心配しています。
それにしても、原発の水位計って、原子炉を冷却する上では何よりも重要な計器なのに、どうしてこんなに簡単に故障してしまうのでしょうか。