今シーズンのインフルエンザ予防接種の料金は、厚労省の示した基準をもとに、自治体が決定しています。
厚労省の基準とは「1回目3,600円、2回目2,550円」です。
これをふまえて各自治体は「定額制」とするか「上限制」とするかを選択します。
つまり
定額制=「1回目3,600円、2回目2,550円」の均一料金。
上限制=「1回目3,600円、2回目2,550円」以下の自由料金。
上限制の場合、価格の自由競争が起きるので低料金化しやすく、被接種者(市民)にとってメリットがあります。
一方で定額制は、値崩れの心配が無く、医療機関にとって有利かもしれません。
極論すれば、上限制は市民目線、定額制は医者目線の料金設定といえます。
熊本市は定額制を選択したので、当院でもその料金を遵守して接種を行っています。
上限制を選択した自治体もあります。従来の季節性インフルエンザワクチンと同様に、2,500円や2,000円などの料金設定も可能です。
ところで、厚労省の基準はあくまで基準であり、自治体独自の判断で別の価格水準にしてもよいことになっています。
自治体によっては、4,000円の定額制にしたところもあります。
隣接する市町村で料金が異なる場合、居住地とは異なる地域まで接種を受けに行く「越境接種」が問題となっています。
このようなヘンテコリンな規定は、元をただせば厚労省のドタバタに端を発していました。
厚労省は当初、定額制に決定していましたが、8月下旬、上限制に変更すると通達。
ところがその2,3日後に通達を撤回。理由は「調整不足」とのこと。誰との調整?
最終的に厚労省は、定額制か上限制かを自治体に決めさせるという妙案をひねり出し、自治体に下駄を預けたわけです。