ようやく3日前から、アップルのiTunes Storeでビートルズの曲が購入(ダウンロード)できるようになりました。
アップルとビートルズの両方のファンとしては、とても感慨深いものがあります。
思えば、私が初めて買ったビートルズは、中学校のとき友達から譲り受けたEP盤でした。
そのビートルズ本人(たち)が英国に設立した会社がアップル(アップルレコード)です。レコードにはリンゴのマークがありました。
一方で、そのビートルズの成功にあやかろうと名付けられたとの逸話もあるパソコン会社が、米国のアップルコンピュータ(現アップル)。
当然両者は商標権を巡って争うことになり、アップルコンピュータが音楽事業を行わない約束でいったん和解しました。
当時の発想では、パソコンと音楽は無関係だったので、そのような合意ができたのです。約30年前の話です。
私が初めてMacを購入したのはその数年後。
当時すでにMacのサウンド関連機能はけっこう充実していて、楽しいソフトがたくさんありました。
これがやがて音楽事業への侵入とみなされる状況になり、再び両アップルの争いが始まりました。
私には苦しい時代でした。いっそのこと両者が合併したらどうなのかとさえ思いました。
20年前にふたたび和解が成立。
「アップルコンピュータは物理的な音楽コンテンツを配布しない」という内容の合意です。
では現状はどうなっているか。
現アップル(旧アップルコンピュータ)は、音楽を非物理的な(電子的な)コンテンツという形態で配信し、自ら製造した装置で再生させるというビジネスモデルを確立してしまいました。
この成功は、20年前の合意内容による逆境が生み出した、アップル起死回生の逆転劇でした。
そのようないきさつがあったので、すでに多くのアーティストがiTunes Storeで楽曲を提供しているにも関わらず、ビートルズだけはまだ配信されていませんでした。
今回のことで、音楽業界がCD販売からデータ配信へと大きく舵を切ったように思えます。