勤務医時代のある日、集中治療室(ICU)にいた5人の患者さんの平均年齢を計算してみました。
およそ30歳ぐらいでした。
30歳と言えば、体力が充実し活力に満ちた年齢のはず。
さては深夜の交通事故で負傷した若者たちが一度に担ぎ込まれたのか・・・と想像してみることもできます。
タネを明かすと、5人の内訳は乳児(0歳)3人と高齢者2人。
0+0+0+70+80を5で割って30といったところです。すべて心臓手術後の患者さんでした。
平均年齢30歳という統計値には、何の意味も無いどころか、間違った印象を与えることがよくわかる典型的な事例です。
テレビの報道番組や特集を見ていて、視聴者に誤解を与える(または誘導する)統計値をしばしば目にします。
縦軸の目盛りがゼロから始まっていない棒グラフを出すような番組を、私は信用しないことにしています。