チャーリー

小児に、薬剤を用いる処置を行う際は、体重に応じて薬の量を変える必要があります。

私は便宜上A, B, C, D, Eの5つの区分をつくっています。それぞれが体重6, 10, 15, 20, 30キロに相当します。これは私のクリニックに限らず一般的に用いられている工夫です。

指示を受けたスタッフは、患者の体重に応じた量の薬剤を準備することになります。

ところが、BとDは聞き間違いが起きやすいのです。

「ビーでお願いします」「ディーですね」「ビーです」「デーですか」「ビィィー」という会話がかつて何度も繰り返されました。

あるとき私は一計を案じました。Bを「ブラボー」、Dを「デルタ」と呼ぶことにしようと。

戦争映画好きの方ならピンとくるはず。NATOの共通コードです。

もちろんAは「アルファ」、Cは「チャーリー」、Eは「エコー」。これなら聞き間違いなしです。

初めの頃はちょっと照れながら「ブラボーのBでお願いします」などと言っていましたが、慣れとは恐ろしいものです。最近は「チャーリーでよろしく」というだけで通じます。

ただし、いまだに気恥ずかしいですが。